墓よりも怖いもの
この間、近所の大きな公園でぼうっとしていると、隣のベンチに家があるんだかないんだか分らないおばあさんが座りました。しばらくそのままでいると、家あるっぽいおばあさんがやってきて、公園の人付き合いについて語りだしました。
どうもこの公園に住んでいて、やたら話しかけてくるので煙たがられてるおじいさんがいるらしく、おばあさんは見つかるとうっとうしいので避けて暮らしているらしいのです。
「でな、乗馬センターの方に行ったら絶対おると思って、墓を通っていってん」
「えぇ~、わたし墓なんかこわくてよういかんわ」
なるほど、だけど話はおじいさんどころでなくなってゆきます。
「でも、もっと怖いもんいっぱいあるやん」
「せやな、あっこのトイレもあっこのトイレも首つりあったからな」
「せやねん、あの最近きれいにしたトイレでもこの間行ったらサラリーマンがプラプラしてたからびっくりしたわ」
「うっかりいったら、おるからびっくりするよな」
な、なるほど。
「最近、うろうろすぐトイレ行くにーちゃんおるやろ、あの子も怪しいって思ってんねん」
な、な、なるほど。
そこで雪も降ってきたことだし、帰ることにしたのだけど、都市と公園って、感慨深いものだなと思いました。あと、うっかりトイレには入らん方がいいなと思いました。あと、最後におばあさん達が男子トイレに入っているのか、男たちが女子トイレで首を吊るのかどちらなのかと思ったりもしました。