三時間の使い方

冬になったら、ロシアの小説を読みたくなります。なぜなら寒いから。 ドストエフスキーのことをわたしは敬意を表して「ドス兄」と呼んでいます。社会主義とか賭博とかてんかんとか色々あって、はげてるけどヒゲとうしろ髪は伸ばしたりして、小説書いて、生き…

墓よりも怖いもの

この間、近所の大きな公園でぼうっとしていると、隣のベンチに家があるんだかないんだか分らないおばあさんが座りました。しばらくそのままでいると、家あるっぽいおばあさんがやってきて、公園の人付き合いについて語りだしました。 どうもこの公園に住んで…

三時のあなた

孫とおばあちゃんの会話。 「お腹すいた~」 「まだ十一時や、我が家では昼ごはんは十二時や」 「え~、まだ一時間もあるやん・・・じゅういちじ、じゅうにじ、いちじ、にじ、さんじ・・・三時は?三時もまた食べるやんな」 「三時のあれは、ファッションや」…

棒がいっぽんあったとさ

たまに思う、 「なんで泥に棒で『泥棒』やねん」 と。ドロボーのイメージと「泥棒」が遠い。ドロボーは「盗人」で泥棒は「泥の沼に立っている棒」だ。結びつかない。 それと同じで「おてんば」が「お転婆」なのもしっくりこない。ババア転んでキャンディキャ…

阪急電車

阪急沿線上に住んでいて、阪急電車が大好きです。でもひとつ気になることがあって。 手塚治虫氏のキャラクターがかわいく描かれたラッピング電車、リボンの騎士から三つ目くんからブラックジャックから、それはもうゴージャスかつかわいらしいのだけど、その…

いるよ

実家は田舎で近所に牛がいるのは、たまにもうもう言っているので知っていたのだがニューカマーが現れた。車で五分ほど走った最寄りのローソンの前に茶色のヤギがいるのだ。 うるさくないし、臭くないし、雑草を食べるしで中高年の間でヤギ飼育が流行している…

小さな恋で満たされている

たくさん病気を持ったおじさんとお話をしていて、 「はいほうて分かる?」 と聞かれました。はいほう・・・はいほう、 「ああ、ブドウみたいなやつですね」 「そうそう、それがつぶれていく病気やねん」 そうか、それは大変だ・・・ 「静かに夜、風呂入って…

ど、どうしよう

先日、バーベキューに行きました。そしたらまわりの女の人たちは競うように自分のとっておきのバーぺキューメニューを持ってきていて、人生で数えるほどしかバーベキュー経験のないわたしなのでテクニシャンの前におろおろするしかないのでした。 とりあえず…

気になる外国人

ふたりいます。ひとりはトリバゴのCМに出ている女の人で、もうひとりは日本臓器製薬のCМに出ている男の人です。 「ご存知」 みたいな感じで出演しているけど全然知らん。あの人たち、いったいなんなんだろう。だれなんだろう。みんなは知ってるのかな?

うみどり

シーチキンの料理本を図書館で借りてきました。 わたしにとってシーチキンとはなんか油漬けのくせにぱさぱさしているし、それだったら豆腐の油揚げの方がおいしいよな、という。唯一、豆のサラダを作る時だけ時は必須だ、くらいの。そして外食で出されるとな…

ひろいぐいをしました

お風呂に行こうと思って、電車に乗っていました。そこそこ混んでいたのでカバンを下において扉前のサイド(ちょうどおしりが座っている人の横になるとこ、わたしはそこをエアーポケットと呼んでいます)に立っておりました。 降りる駅が来たのでカバンを持とう…

どう言ったらいいの?

この気持ちをどういったらいいの?ということがある。 例えば、ちょうど五十円のおつりがくるように券売機にお金を入れたら、十円玉が五枚がしょんがしょんがしょんがしょんがょんと落ちてきた時。 「せっかく・・・せっかく」 この気持ち、どういったらいい…

ここいちのかわいさ

最近、聞いた話の中で一番かわいかったのは、三島由紀夫の末期です。 「三島由紀夫は『豊饒の海』を書き終え、自衛隊にて割腹自殺した」 と思っていたのだけど、「豊饒の海」を書いている時にどうしてもディズニーランドに行きたくて夫人を誘ったものの断ら…

ニンジンを使った殺人

ソクラテスはおしゃべりが行き過ぎて、なんやかんやあって死刑になったのですが、殺し方としてどうもピンと来ないのが、 「毒ニンジンによる死刑」 だったというのだ。ん〜、みんなの前でなの?それとも地下でたった一人で死んだの?そしてニンジンはボリボ…

好物

ふ、と思いついた。 「馬って、ほんとにニンジンが好きなのか?」 そのように言われているが、他の野菜の方が好きかもしれないじゃないか?と。そしてさらに、 「うさぎも、ほんとにニンジンが好きなのか?」 なんとなく、くわえている姿がだいこんより、ご…

春のごちそう

散歩をしていると、桜の木にウグイスが止まった。そこは梅なんじゃないのか、ウグイスよ。そして桜は全然咲く気配もないぞ、ウグイス。咲いてない桜の木ってなんか枯れ木っぽいぞ、ウグイス。 止まったウグイスは木についているコケをガツガツついばみ始めた…

ちなみにわたしは仕事帰りに本屋で普通に買いました

村上春樹氏の新刊が出るたびに大騒ぎになる。 首都のお店では販売日前日からフェスタであり、日が変わるや否や深夜から本を売り出す。「ハルキスト」と呼ばれるファンは行列をなし、カウントダウンで祝い一秒でも早く本手に入れる。 いつもそれを見るたびに…

風情の使い道

「風情がある」 という言葉でなにを思い出すだろう。夏の夕暮れ風が吹くとか、冬の屋台で眼鏡が曇るとか、うららかな春に昼寝とか、秋の食べ物を片っ端から並べるとか。 わたしはそうではない。昔、吉本隆明が、 「明石家さんまが番組を終えて、コップ一杯の…

小一時間

この間、ハイキングに行ったところ、山を下りたところにある公園でご婦人方が会話をしながらお弁当を食べていた。 「えぇ!」 と大げさな声に続いて、 「こいちじかん!」 「そう」 「МRIで?」 「そう、МRIで小一時間」 そのやりとりが通りすがりに聞こ…

食われた

東京に行った。すごくすごく久しぶりに行った。田舎者が嬉しそうにお気に入りのマフラーを巻いて行った。 朝の山手線のラッシュというのに初めて乗った。箱の中に入っていい数をはるかに超えた人が人でなくるようなありさまにねりねりと練られに練られて自分…

メルヘンの話

仕事で担当しているおばあさんが先日、左手をパンパンに腫らせて包帯ぐるぐるで来たので、 「どうしたのですか?」 とびっくりして尋ねたところ、 「妹の家で猫のケンカを止めようとして、ひっかかれた」 とのこと。ちょっとほのぼのとしたが、怪我はずいぶ…

怖いはなし?

先日、スマホに変えた。全然、分からないので店員さんの言われるがままに従っていたのだが、なんかの拍子に(たぶん、とんちんかんな)質問したら、 「今は・・・この世にはアップルかアンドロイドしかないですからねぇ」 と言われ、え?世紀末世界戦争が終わ…

ゆきすぎた親切は

さっき駅前で、大変な暴風雨の中、からし色の帽子をかぶって、からし色のレインコートを着た小柄な女性だか男性だか分らないひとが、火ハサミでごみを拾ってはナイロン袋に入れていた。 ひょい、ぽい、ひょい、ぽい。拾うたびに街はきれいになる。だけどなに…

白蛇のはなし

沿線の終着近い山には台所の神様が住んでいて、たまに山歩きがてら参る。駅からひたすら坂道を二キロほど歩くと神様を祭っている神社に着く。 参道にはお茶屋さんや乾物屋さんやお漬物屋さんやバラックの占い屋さんがある。その中に籠をたくさん売っている雑…

メッセージ

隣駅の駅前は急行が止まる大きい駅でちょっとした円形の憩いのスペースがあって、ベンチがあったり、謎の銅像があったり。たまにギター弾きがいたり、ダンス踊ってる人がいたりする。 そこにいっこだけ気になる張り紙が、 「ハトに餌をやらないでください」 …

そんな・・・

冬になったらロシア小説を読む。なぜなら寒いから。冬もロシアも寒いから。 それで「アンナ・カレーニナ」を読んでみた。文豪トルストイによる分厚い文庫本四巻に渡る大作だ。主人公アンナの壮大なる不倫小説だ。子供①がいるのに若い軍人にいってもうて、若…