そんな・・・

 冬になったらロシア小説を読む。なぜなら寒いから。冬もロシアも寒いから。






 それで「アンナ・カレーニナ」を読んでみた。文豪トルストイによる分厚い文庫本四巻に渡る大作だ。主人公アンナの壮大なる不倫小説だ。子供①がいるのに若い軍人にいってもうて、若い軍人とも子供②ができたけど、あんまり愛せなくて子供①に会いにこっそり家に帰ったりするヤンチャが過ぎる女だ。子供①はアンナに捨てられた父親に母親は死んだと聞かされていたので、のちに大パニックになって死にかけたりする。子供かわいそう、アンナってば大迷惑。ちなみにアンナは何を血迷ったのか愛せない子供②にプラスして外国の子供③を養子にもらったりするが、その子も愛せない。子供かわいそう。アンナってば大迷惑。






 あと副主人公的なリョービンていう農民貴族的な青年もいる。リョービンはアンナの不倫相手の軍人に失恋したキティという子と結婚するのだけど、アンナったらリョービンも一瞬、誘惑したりします。ほんとアンナってば、大迷惑。アンナ食いしん坊すぎ。あとアンナの世界は狭すぎて食物連鎖みたい。






 リョービンの友人でアンナの兄オブロンスキーもフランス人家庭教師と不倫してたりする。すぐばれて破局するけど。ややこしい。さらにややこしいことにアンナの不倫相手の若い軍人の名前はヴロンスキーだ。


「そんな・・・」


 と思いませんか?オブロンスキーとヴロンスキーなんてほぼ一緒だ。そうめんとひやむぎくらい一緒だ。ややこしい話の登場人物の名前もややこしい。自分で自分を励ましながら読み進める。






 もつれてはほぐしを繰り返し、こつこつと長編三巻を読み終え、さあ四巻に入るぞと手に取ると裏表紙のあらすじが目に入る。


「すべてをなげ捨ててヴロンスキーとの愛だけに生きようとしたアンナだが、狂わんばかりの嫉妬と猜疑に悩んだ末、悲惨な鉄道自殺をとげる」


 最終巻四巻を読む前に、そんな形で読者に表紙に主人公の結末を明記するなんて・・・なんて無神経なんだ。


「そんな・・・」


 あんまりです、かみさま!桑原和夫もびっくりな・・・悔しすぎるから最後まで読んでやりました。アンナ死ぬって分かってたけど。ただ、知っていてなおアンナの自殺の前の描写は光り輝くように美しかったです。その中で、アンナがブツブツ言いながら馬車に乗って駅に向かう途中、看板をやたら読み上げていくのですが、その中に「事務所と倉庫」というせりふがあったので、それをブログタイトルにしてみました。よろしくお願いします。