2017-02-21 風情の使い道 「風情がある」 という言葉でなにを思い出すだろう。夏の夕暮れ風が吹くとか、冬の屋台で眼鏡が曇るとか、うららかな春に昼寝とか、秋の食べ物を片っ端から並べるとか。 わたしはそうではない。昔、吉本隆明が、 「明石家さんまが番組を終えて、コップ一杯の水を飲むさまは風情がある」 と言っていたので、いの一番に「風情」といえばウォーターさんまさんである。バナナと言ったら黄色くらいそうなのである。そしてわたしは戦後最大の思想家と呼ばれた吉本氏のこういうところがとても好きである。